よくある質問
よくある質問(回答)
よくある質問と回答
Q 1 有害化学物質に係る健康診断(第一次健康診断)における「作業条件の簡易な調査」などの留意事項には何がありますか?  参考図書 「働く人のための健康診断の実務」 目次 :Q30より
A.  平成21年に特定化学物質障害予防規則等が改正され、「ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)」及び「砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く。)」が追加規定された際に、「『ニッケル化合物』及び『砒素及びその化合物』に係る健康診断の実施に当たって留意すべき事項について」(平成21年3月25日付け基安労発第0325001号)という通知が公表され、同通知には特殊健康診断を実施する際に事業者および医師などが参考とすべき事項として、「特殊健康診断の実施のためのガイドライン」が示されています。このガイドラインは他の化学物質に係る特殊健康診断においても参考とすべき留意事項であり、その内容を一般化すると次のとおりです。
1 作業条件の簡易な調査について
第一次健康診断における「作業条件の簡易な調査」は、当該有害物質を取り扱う労働者の当該物質へのばく露状況を適切に把握し、健康診断結果の解釈、第二次健康診断の実施の必要の有無の判断及び健康診断結果に基づく措置を行う際の判断に資することを目的としたものであり、概ね以下の情報を収集すること。
ア 当該労働者が主に従事する単位作業場所における作業環境測定結果
イ 作業における当該有害物質の平均的な使用頻度および前回の健康診断以降の作業工程や取扱量などの変更
  ウ 局所排気装置などの有無および稼動状況
  エ 保護具の使用状況
  オ 事故や修理などの際における大量ばく露
  カ その他
アについては、原則として事業者から健康診断実施時点までに健康診断を実施する医師に対して提供されること。また、イ〜カについては労働者本人から聴取することとし、健康診断実施時点までに問診票(別紙)などの方法で収集する、または健康診断実施時に直接聴取するなどの方法で実施されること。
  なお、問診票を用いた場合には、健康診断個人票とともに保存することが望ましい。
≪作業条件の簡易な調査における問診票(例)≫
最近6か月の間の、あなたの職場や作業での化学物質ばく露に関する以下の質問にお答え下さい。
(注:ばく露とは、化学物質を吸入したり、化学物質に触れたりすること。)
1)該当する化学物質について、通常の作業での平均的な使用頻度をお答えください。
(    時間/日)(    日/週)
2)作業工程や取扱量などに変更がありましたか?
・作業工程の変更   ⇒ 有り・無し・わからない
・取扱量・使用頻度   ⇒ 増えた・減った・変わらない・わからない
3)局所排気装置を作業時に使用していますか?
   ・常に使用している   ・時々使用している  ・設置されていない
4)保護具を使用していますか?
・常に使用している  ⇒保護具の種類(        )
・時々使用している  ⇒保護具の種類(        )
・使用していない
5)事故や修理などで、当該化学物質に大量にばく露したことがありましたか?
・あった   ・なかった   ・わからない
2 第一次健康診断結果の判断について
 ア 「作業条件の簡易な調査」について
作業条件の簡易な調査の結果、当該労働者の過剰なばく露が疑われるかどうかを総合的に判断すること。
 イ 「当該有害物質による他覚症状又は自覚症状の既往歴の有無の検査」、「他覚症状または自覚症状の有無の検査」及び「当該物質による特定の所見の有無の検査」について
    これらの項目は、当該有害物質による症状の有無を問題としているが、これらの症状は当該有害物質へのばく露に起因しない場合も多いことに留意する必要がある。したがって、当該有害物質へのばく露と、これらの症状の出現に相当程度の関連が疑われた場合について、有所見と判断すること。
Q 2 有機溶剤健康診断の対象者はどのように選定するのですか?  参考図書 「働く人のための健康診断の実務」 目次 :Q38より 
A.  有機則第29条により、事業者は、屋内作業場等(第3種有機溶剤にあってはタンク等の内部の作業に限る。)において、有機溶剤業務に常時従事する労働者に対し、雇入れ時、配置替え時、およびその後6か月以内ごとに1回、定期に有機溶剤健康診断を実施しなければならないとされています。
 有機溶剤健康診断の対象者は、次の3要素により決めることになります。
? 物質(有機則の適用対象となっている有機溶剤であるかどうか)
? 業務(有機則に規定する有機溶剤業務に該当するかどうか)
? 場所(有機則に規定する屋内作業場等であるかどうか)
  なお、有機溶剤であるかどうかについては、容器に表示されている物質名を見るか、SDS(安全データシート)を入手することによって知ることができます。有機溶剤は多種で500〜600種類ともいわれていますが、有機則で規制されているものは下表のとおりです。
≪有機溶剤の種類(安衛令別表6の2)≫
[第1種有機溶剤][注:番号は安衛令別表第6の2の番号]
28 1,2-ジクロルエチレン(別名二塩化アセチレン)
38 二硫化炭素
[第2種有機溶剤]
1 アセトン
2 イソブチルアルコール
3 イソプロピルアルコール
4 イソペンチルアルコール
5 エチルエーテル
6 エチレングリコールモノエチルエーテル(別名セロソルブ)
7 エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名セロソルブアセテート)
8 エチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(別名ブチルセロソルブ)
9 エチレングリコールモノメチルエーテル(別名メチルセロソルブ)
10 オルト-ジクロルベンゼン
11 キシレン
12 クレゾール
13 クロルベンゼン
15 酢酸イソブチル
16 酢酸イソプロピル
17 酢酸イソペンチル(別名酢酸イソアミル)
18 酢酸エチル
19 酢酸ノルマル-ブチル
20 酢酸ノルマル-プロピル
21 酢酸ノルマル-ペンチル(別名酢酸ノルマルアミル)
22 酢酸メチル
24 シクロヘキサノール
25 シクロヘキサノン
30 N・N-ジメチルホルムアミド
34 テトラヒドロフラン
35 1・1・1-トリクロルエタン
37 トルエン
39 ノルマルヘキサン
40 1-ブタノール
41 2-ブタノール
42 メタノール
44 メチルエチルケトン
45 メチルシクロヘキサノール
46 メチルシクロヘキサノン
47 メチル-ノルマル-ブチルケトン
[第3種有機溶剤]
48 ガソリン
49 コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)
50 石油エーテル
51 石油ナフサ
52 石油ベンジン
53 テレピン油
54 ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスプリットおよびミネラルターぺンを含む)
55 前各号に掲げる物のみから成る混合物
≪有機溶剤業務(有機則第1条第1項第6号)≫
1 有機溶剤などの製造工程における有機溶剤などのろ過、混合、攪拌、加熱または容器もしくは設備への注入の業務
2 染料、医薬品、農薬、化学繊維、合成樹脂、有機顔料、油脂、香料、甘味料、火薬、写真薬品、ゴムもしくは可塑剤またはこれらのものの中間体の製造工程における有機溶剤などのろ過、混合、撹拌または加熱の業務
3 有機溶剤含有物を用いて行う印刷の業務
4 有機溶剤含有物を用いて行う文字の書き込み、描画の業務
5 有機溶剤などを用いて行うつや出し、防水その他物の面の加工の業務 
6 接着のためにする有機溶剤などの塗布の業務
7 接着のために有機溶剤などを塗布された物の接着の業務
8 有機溶剤などを用いて行う洗浄または払拭の業務
9 有機溶剤含有物を用いて行う塗装の業務
10 有機溶剤などが付着している物の乾燥の業務
11 有機溶剤などを用いて行う試験または研究の業務
12 有機溶剤などを入れたことのあるタンクの内部における業務

≪屋内作業場等(有機則第1条第2項)≫
 第1種有機溶剤または第2種有機溶剤を用いる有機溶剤業務を次の場所で行う者が有機溶剤健康診断の対象となります。
1 船舶の内部
2 車両の内部
3 タンクの内部
4 ピツトの内部
5 坑の内部
6 ずい道の内部
7 暗きよ又はマンホールの内部
8 箱桁(けた)の内部
9 ダクトの内部
10 水管の内部
11 屋内作業場及び前各号に掲げる場所のほか、通風が不十分な場所
≪タンク等の内部≫(有機溶剤中毒予防規則第2条第1項第1号)
第3種有機溶剤を用いる有機溶剤業務を次の場所で行う者が有機溶剤健康診断の対象となります。
1 地下室の内部その他通風が不十分な屋内作業場
2 船倉の内部その他通風が不十分な船舶の内部
3 保冷貨車の内部その他通風が不十分な車両の内部
4 上記の「屋内作業場等」の3から11までに掲げる場所
Q 3 じん肺健康診断の項目について教えてください。  参考図書 「働く人のための健康診断の実務」 目次:Q65より
A.  じん肺健康診断の項目等については、じん肺法第3条、じん肺法施行規則第4条〜第8条に、? 粉じん作業に常時従事する労働者全員に行う項目、? エックス線写真検査の結果、所見のある者に行う項目、? じん肺の合併症の有無により行う検査という段階ごとに定められています。
 詳細は「働く人のための健康診断の実務」 目次:Q65


Q 4 健康診断機関を選定する際の望ましい条件として、どのようなことを重視したらよいですか?  参考図書 「働く人のための健康診断の実務」 目次 :Q99より
A. 1 健康診断担当者は、健康診断の実施を委託する健康診断機関を選定する際には、経費削減の立場から一件当たりの単価だけに注目して健康診断機関を選定するのではなく、健康診断の質を評価して健康診断機関を選定することが重要です。健診機関の選択に当たって、特にしてはならないことは、料金が安いことを理由に、毎年異なった健診機関に健康診断を委託することです。検査方法、データの基準値、結果報告の様式などは各健康診断機関で異なっておりますので、これらが毎年変化してしまうと、前年のデータとの比較が困難になり、個々の健康診断結果の判定が不正確になるばかりでなく、事業場全体としての健康状態の経年的な評価ができなくなったり、健康診断結果に対する精密検査が必要な労働者数が大きく増減したりして、健康診断を実施しても、効果的な活用ができなくなってしまい、経済的な無駄が多くなる結果となります。
2 また、全衛連が総合精度管理事業として健康診断施設を対象に実施している外部精度管理調査では、労働衛生検査や臨床検査、胸部エックス線検査、腹部超音波検査の評価結果が項目ごとに公表されていますので、その結果などが参考になります。
3 受診者が健康診断機関で受ける施設健康診断と健康診断機関が事業場を訪問して実施する巡回健康診断では、健康診断項目、精度管理、二次検査や事後措置などの保健指導に係るサービス提供、労働者の負担感、費用などに相違がでます。
 さらに、後日健康診断機関を受診させることになる未受診者について考慮すると、巡回健康診断であっても事業場との地理的な距離も判断条件になります。
  健康診断機関を選定するうえで、下記の資料が参考になりますので、紹介します。
≪望ましい健康診断機関の条件≫
 それぞれ事業場の実情に応じた良質な健康診断機関選定の参考として、検討し、確認すべき主な条件を列挙した。
◇ 全国労働衛生団体連合会などの健康診断に関する団体に加盟または登録していること。
◇ 全国労働衛生団体連合会・労働衛生サービス機能評価委員会等の認定を受けていること。
◇ プライバシーマーク(Pマーク)を取得し機微な健康情報の管理を適切に行っていること。
◇ 各種団体の精度管理調査に参加し、良好な成績を上げていること。
◇ 学会などへの参加・研究発表、内部における調査研究活動、教育研修の実施・参加等により、技術水準の向上に努めていること。
◇ 健康診断業務の大部分をその健康診断機関において行うことができ、外部委託が少ないこと。
◇ 第二次健康診断を含む健康診断を実施するのに必要な施設・設備、検診車、機器などが整備されていること。
◇ 第二次健康診断や作業環境測定を行うことができない場合、「要医療」の判定がなされた場合などに紹介できる他の健康診断機関、作業環境測定機関、医療機関との連携が確保されていること。
◇ 医師をはじめ保健師、看護師、臨床検査技師、診療エックス線技師等の健康診断に必要なスタッフが適切に確保されていること。
◇ 学会等が認定する専門医等の資格取得者、心電図を判定する専門医などが確保されていること。
◇ 健康診断機関に労働衛生コンサルタント(保健衛生)、日本産業衛生学会の指導医・専門医などがおり、責任と権限を有していること。
◇ 胸部エックス線検査などの画像診断は、二重読影が実施されていること。
◇ 健康診断の総合判定は労働衛生についての学識・経験を有する医師によって行われていること。
◇ 健康診断の項目、実施方法、結果報告などについて、事業場のニーズに合わせた柔軟な対応ができること。
◇ 健康診断結果の報告は、迅速(例えば2週間以内)に行われること。
◇ 健康診断結果の報告内容は、具体的で労働者が理解しやすいこと。
◇ 事業場の全体集計や労働基準監督署への結果報告書などの集計・分析・サービスができるとともに、事業場全体の傾向を把握して事業場の健康確保対策への支援ができること。
◇ 適切な料金であること。
出典 和田攻監修『働く人の健康診断と事後措置の実際』(財)産業医学振興財団発行、一部改変

≪健康診断の料金≫
 健康診断は自由診療で行われている医療行為です。したがって、多くの健康診断機関では、原価計算を基に健康診断料金を設定して運用しています。一方、開業医(診療所)や病院の場合は、保険点数を積み上げた料金で実施されるのが一般的です。
 これらの健康診断料金は、健康診断機関を選定する際の重要な要素の一つになりますが、事業場健康診断担当者は料金にこだわり過ぎずに、健康診断の目的や質を十分理解したうえで、事業場が必要とするサービスについて、どの機関が適切に対応することができ、また健康診断の質の確保を含めた品質保証に熱心に取り組んでいる信頼のおける機関であるかを総合的に判断したうえで契約を結ぶことが大切です。
Q 5 全衛連のストレスチェックサービスとはどのようなものですか?  参考図書 「働く人のための健康診断の実務」 目次 :Q143より
A.  全衛連ストレスチェックサービスは、全衛連がサービス提供の仕組みを考案し、全衛連会員機関が全国各地で事業場に対するメンタルヘルス支援を行うサービスです。
全衛連ストレスチェックサービスは平成22年度から提供を開始しています。
以下、全衛連メンタルヘルスサービスの概要について説明します。
ア 定期健診時にストレスチェックを実施
まず、定期健康診断時に併せてストレスチェックを行います。「全衛連ストレスチェックサービス」システムで使用するチェックシートは、厚生労働省が開発した「職業性ストレス簡易調査票」を改変使用(57項目の質問票に前月の時間外労働時間数、面接希望の有無の2項目を追加し、59項目で実施。)しており、最も信頼性のあるものといえます。
イ 受診者に対する結果報告及び必要な事後指導の実施
受診者全員に対し、後日、個人評価結果として、ストレスチェック結果を踏まえ、ストレスへの気づきを促し、セルフケアに役立つアドバイスが記載された報告書を送付します。
 ストレスチェックの結果、高得点の受診者(ストレス過多、抑うつ傾向)及び事後指導希望受診者、月間の時間外労働時間数が100時間を超える受診者に対して、個別に事後指導を実施します。
事後指導では、医師が受診者からさらに詳しい問診(構造化面接)を行い、メンタルヘルス不調に陥っていないことを確認します。その後、保健スタッフからストレス軽減の助言、ストレス対処法等について具体的指導を行います。
事後指導に当たるのは、日本産業精神保健学会認定専門職コースを修了した医師、保健スタッフです。
医師面接により、専門医療機関を受診したほうがよいと判断された受診者に対しては、専門医療機関に係る必要な情報を提供します。
ウ 長時間労働者に対する医師の面接指導も併せて実施
労働安全衛生法第66条の8により、月間の時間外労働時間数が100時間を超えた場合、労働者の申出により遅滞なく医師の面接指導を受けさせなければならないこととされています。全衛連ストレスチェックサービスにおいては、健康診断実施の前月の所定労働時間が100時間を超えたと申告のあった受診者については事後指導の対象として選定されます。
なお、この100時間については、事業場の希望により45時間超、60時間超、80時間超のいずれかに設定することも出来ます。
エ 職場評価結果票の提供、改善指導の実施
ストレスチェックを受診した個々の労働者のチェックシートに対する回答結果を事業場全体、部署単位別等の集団ごとに集計し、ストレスチェック結果から見えてくる組織の問題点等について職場評価結果として情報提供します。
事業場ではこの職場評価結果を基に職場ストレス環境の改善につなげることとなります。
なお、全衛連会員機関は、事業場の要請に応じ、産業医契約等に基づき別途必要な改善指導を行います。
オ 教育研修等の実施(全衛連のストレスチェックサービスの延長として実施)
職場評価結果を踏まえ、個々の事業場の実態に即した具体的な管理職研修、職員研修、あるいは職場ストレス環境の改善に係るアドバイス等を事業場の要望に応じて実施します。
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